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飲食店のFL比率とは?目安・計算方法と改善の考え方

飲食店のFL比率|売上に対する食材費と人件費の割合を確認するイメージ

飲食店の経営で「FL比率」という言葉を耳にしたことがあると思います。食材費と人件費という、店の利益を左右する2つの大きなコストをまとめて見る指標です。よく「60%以下に抑える」といわれますが、その数字だけを追いかけても、店の状態は良くなりません。この記事では、FL比率の計算のしかたと目安の考え方、そして公的な統計から見える実際の水準を整理したうえで、どこから手をつけるべきかをご説明します。

FL比率とは何か

FL比率とは、売上高に対して「食材費」と「人件費」が占める割合のことです。FはFood(食材費・原価)、LはLabor(人件費)を指します。

飲食店のコストは細かく分ければきりがありませんが、そのなかで金額が大きく、かつ経営判断で動かせる余地があるのがこの2つです。だからこそ、まとめて1つの数字で管理する考え方が広まりました。

計算式

計算そのものは単純です。

  • FL比率(%)=(食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100

たとえば月商500万円の店で、食材費が160万円、人件費が175万円だったとします。(160+175)÷500×100 で、FL比率は67%です。

家賃を加えた「FLR比率」(RはRent=家賃)で見る考え方もあります。家賃は毎月ほぼ固定で、売上が落ちても減らないため、家賃負担が重い店では、FLだけを見ていると資金繰りの実態を見誤ることがあります。

「60%以下」という目安の扱い方

FL比率は一般的に60%以下が目安といわれます。ただしこれは業界で広く共有されている経験則であって、どんな店にも当てはまる基準ではありません。

業態によって、そもそもの構造が違うからです。原価の高い食材を売りにする店は、その分だけ人手を抑える設計になっていることがあります。逆に、丁寧な接客やサービスを売りにする店は人件費が高くなり、そのぶん原価を抑える設計になります。大切なのは合計の数字が何%かではなく、自店の業態にとって妥当なバランスになっているかです。

統計から見た、実際の水準

では実際のところ、小規模な飲食店の数字はどのくらいなのでしょうか。日本政策金融公庫が公表している「小企業の経営指標調査」(飲食店・宿泊業は2023年度調査)から、一般飲食店の数値を見てみます。調査対象は同公庫の融資先のうち従業者50人未満の法人企業437社で、業界全体を代表するものではありませんが、傾向をつかむ手がかりになります。

指標 平均値 黒字かつ自己資本プラスの企業
売上高総利益率 63.1% 65.9%
(上記から計算した原価率) 36.9% 34.1%
人件費対売上高比率 39.5% 36.5%
売上高営業利益率 -18.0% 5.0%

同調査では、売上高総利益率は「(売上高-売上原価)÷売上高×100」と定義されています。したがって、原価率は100からこの値を引いて求められます。

この数字から読み取れること

目を引くのは、黒字企業のほうが原価率も人件費率も低いという点です。原価率で2.8ポイント、人件費率で3.0ポイント。合わせると約6ポイントの差があります。売上500万円の店なら月30万円ほどの違いです。

もうひとつ、平均値の売上高営業利益率がマイナスであることも見逃せません。この調査の対象となった企業の平均では、営業段階で利益が出ていないという厳しい結果が出ています。

ただし、ここで注意していただきたいことがあります。この統計でいう「人件費」の区分と、みなさんが店舗運営で使うFL比率の「L」の範囲は、必ずしも一致しません。統計は決算書の科目にもとづく集計であり、役員報酬やオーナー自身の取り分をどう扱うかは店によって異なります。ですから、この数字と自店のFL比率を単純に並べて優劣を判断するのは適切ではありません。同じ理由から、表の原価率と人件費率を足した数字を、そのまま自店のFL比率と同じものとして扱うこともできません。あくまで、傾向をつかむ材料としてご覧ください。

数字を追う前に、測り方をそろえる

FL比率の相談をいただくとき、私たちがまず確認するのは「その数字がどう計算されているか」です。ここが揃っていないと、改善したのか悪化したのかも判断できません。

食材費の数え方

よくあるのが、その月に仕入れた金額をそのまま食材費として計算しているケースです。正しくは、その月に使った金額で見ます。

  • 食材費 = 月初の在庫 + 当月の仕入 - 月末の在庫

まとめ買いをした月は仕入額がふくらむため、在庫を数えずに計算すると原価率が跳ね上がって見えます。逆に在庫を取り崩した月は実態より良く見えます。棚卸をしていない店では、そもそもFL比率が正しく出ていないことが少なくありません。

人件費の範囲

アルバイトの給与だけを人件費として計上し、社員の給与や社会保険料の会社負担分、まかない代が抜けている、という例もあります。どこまでを含めるかは店ごとに決めて構いませんが、一度決めた範囲を変えずに、毎月同じ定義で出し続けることが重要です。定義が動くと、前月との比較が意味をなさなくなります。

FL比率が高いときの見直しどころ

数字が高いと分かったとき、いきなり食材の仕入先を変えたり、シフトを削ったりするのはおすすめしません。品質やサービスが落ちて客数が減れば、比率はかえって悪化します。順番があります。

まず分解する

FL比率が高いといっても、原因がFなのかLなのかで打ち手はまったく違います。合計だけを見ずに、原価率と人件費率を別々に、できれば月ごとの推移で並べてください。どちらが、いつから動いたのかが見えてきます。

Fが高い場合に見るところ

  • ロス(廃棄・作りすぎ・仕込みすぎ)がどれくらい出ているか
  • 提供量が、決めたレシピどおりになっているか
  • 仕入価格が上がったまま、売価を据え置いていないか
  • 原価率の高いメニューばかりが出ていないか

とくに最後の点は見落とされがちです。1品ごとの原価率が適正でも、注文の構成が偏れば全体の原価率は上がります。

Lが高い場合に見るところ

  • 時間帯ごとの客数と、そこに入っている人数が合っているか
  • 仕込みや発注、清掃などの作業が特定の人に偏っていないか
  • 教育が追いつかず、1人あたりの生産性が上がらないまま人数で補っていないか

人件費は削るより、同じ人数でこなせる量を増やすほうが結果的に効きます。新しく採用しては辞めてしまう状態が続くと、採用コストと教育の時間が積み上がり、人件費率は下がりません。定着の問題は、コストの問題でもあります。

数字の改善はご相談ください

アトラクトは2006年の創業から、飲食店の経営支援ひとすじで取り組んできました。数字を並べるだけでなく、現場でどう運用を変えるかまで一緒に考えます。

原価やロスの見直し、シフト設計といった経営改善・各種研修のほか、仕入や光熱費などのコスト削減、人が育って定着する仕組みづくりまで、必要なところからお手伝いできます。人が足りないという課題については、グループ会社である株式会社ウーヴルコンサルティングによる人財紹介もご案内できます。

「自店の数字が高いのか低いのか分からない」「そもそも正しく計算できているか自信がない」という段階でも構いません。まずはお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

よくあるご質問

FL比率は何パーセントを目指せばよいですか?
一般的には60%以下が目安といわれますが、これは業界で広く共有されている経験則で、すべての店に当てはまる基準ではありません。原価の高い食材を売りにする業態と、接客やサービスを売りにする業態とでは、そもそもの構造が異なります。合計が何パーセントかよりも、自店の業態にとって妥当なバランスになっているか、そして前月・前年と比べてどう動いたかを見るほうが実務的です。
原価率と人件費率、どちらから見直すべきですか?
まずは合計を分解して、原価率と人件費率を別々に、月ごとの推移で並べてください。どちらが、いつから動いたのかが分かれば、打ち手は自然に絞られます。合計だけを見て仕入先を変えたりシフトを削ったりすると、品質やサービスが落ちて客数が減り、比率がかえって悪化することがあります。
FL比率の計算に、まかない代やオーナーの給与は含めますか?
どこまでを含めるかは店ごとに決めていただいて構いません。大切なのは、一度決めた範囲を変えずに毎月同じ定義で出し続けることです。定義が動くと前月との比較が意味をなさなくなります。なお公的統計の「人件費」の区分と、店舗運営で使うFL比率の「L」の範囲は必ずしも一致しないため、統計値と自店の数字を単純に並べて優劣を判断するのは適切ではありません。
棚卸をしていないのですが、FL比率は出せますか?
仕入額をそのまま食材費として計算すると、まとめ買いをした月は原価率が跳ね上がり、在庫を取り崩した月は実態より良く見えます。食材費は「月初の在庫+当月の仕入-月末の在庫」で求めるため、棚卸をしていない店ではFL比率が正しく出ていないことが少なくありません。まずは月末の在庫を数えるところから始めることをおすすめします。
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