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飲食店の仕込み外注|メリット・注意点と判断基準

飲食店の仕込み外注|メリット・注意点と判断基準

飲食店の仕込みを外注するかどうかは、「全部自分たちで作る」か「全部外に出す」かの二択で考えないほうがうまくいきます。判断の単位は店ではなく品目です。お客様が来店の理由にしている品は店に残し、手間はかかるのに味の差が出にくい工程から外に出す。この記事では、仕込みを外に出す3つの形と、外注のメリット・デメリット、品目ごとに決める4つの判断基準、委託先を決める前に確かめること、そして1品から試して切り替える進め方までを順にご説明します。

仕込みを外に出す3つの形

ひと口に「仕込みの外部化」といっても、やり方は大きく3つに分かれます。どれを選ぶかで、かかる費用も、味をどこまで自分たちで決められるかも変わります。

  • 業務用の既製品・半製品を仕入れる:食品メーカーや卸が販売している下処理済みの食材、ソース、冷凍の半製品などを使います。まず1品だけ試したいとき、初期費用をかけたくないときに向いています。ただし他の店も同じ品を使えるため、味で差をつけにくくなります。
  • 自店のレシピで製造を委託する:食品の製造会社に、自店のレシピや仕様どおりに作ってもらいます。看板の味を保ったまま作る手間を減らしたいとき、店舗が増えてきたときに向いています。最低発注量や試作の手間があり、レシピの扱いを契約で決めておく必要があります。
  • 自社でセントラルキッチンを持つ:自社の調理施設でまとめて仕込み、各店舗に配ります。店舗数が増え、仕込みの量がまとまってきたときの形です。施設・設備・人の費用がかかり、施設の営業許可も事前に確かめておく必要があります。

個人店や1〜2店舗のお店であれば、まずは1つ目か2つ目の形で、品目を絞って試すのが現実的です。セントラルキッチンは、仕込みの量がまとまってはじめて費用に見合う仕組みです。

仕込みを外注するメリットとデメリット

外注には、はっきりした良さと、見落としやすい弱さの両方があります。どちらか一方だけを見て決めないことが大切です。

メリット

  • 仕込みの時間が減る:営業前や営業中のアイドルタイムに取られていた時間を、接客や提供に回せる
  • 味や大きさがそろいやすい:作る人によるばらつきが減り、新人が入っても同じものを出しやすくなる
  • 人の確保に左右されにくくなる:熟練した人にしかできない工程が減ると、シフトが組みやすくなる
  • 出店や新メニューの準備がしやすい:新しい店の厨房に、同じ仕込みの技術を持つ人をそろえなくても済む

デメリット

  • 1品あたりの仕入れ値は上がりやすい:作る手間の分が価格に乗るため、食材だけを比べると割高に見える
  • 味の微調整がしにくい:季節や仕入れの状態に合わせて、その日の判断で味を変えることが難しくなる
  • 店の個性が薄れることがある:既製品をそのまま使うと、他の店との違いを出しにくい
  • 相手の都合に左右される:値上げ、仕様の変更、製造の停止があると、メニューごと見直しが必要になる
  • 店の中に技術が残らない:作り方を知る人がいなくなると、あとから内製に戻すのが難しくなる

外部化を考え始めるサイン

次のようなことが続いているなら、仕込みの一部を外に出すことを検討してよい時期です。

  • 仕込みが終わらず、開店時間に準備が間に合わない日がある
  • 仕込みのために早出や残業が続き、人件費やスタッフの負担が重くなっている
  • 特定の人が休むと、出せないメニューがある
  • 同じ料理でも、作る人や日によって味や量にばらつきがある
  • 店舗を増やしたいが、仕込みのできる人を新しい店にも置く見通しが立たない

ただし、人が足りない原因が仕込みとは限りません。ピークタイムの人の配置や、営業中にやらなくてもよい作業が混ざっていないかを先に見ておくと、外に出す範囲を小さくできることがあります。作業の置き場所の見直し方は飲食店の人手不足のページでご紹介しています。

品目ごとに決める4つの判断基準

外部化を検討するときは、メニューと仕込みの工程を書き出し、品目ごとに次の4つを当てはめていきます。

判断基準1 お客様が来店の理由にしている品か

看板メニューや、口コミでよく名前の挙がる品は、店に人が来る理由そのものです。ここを既製品に置き換えると、お客様が味の変化に気づき、来店の理由が薄れることがあります。看板の品は店に残すか、外に出すとしても自店のレシピで製造を委託する形にして、味を決める工程は自分たちで持っておきます。

反対に、付け合わせ、下処理、まかないの材料のように、お客様が店を選ぶ理由になっていない品や工程は、外に出しても影響が出にくい部分です。

判断基準2 時間や熟練が必要な工程か

野菜の皮むきやカット、長時間の煮込み、スープやだしを大量にとる作業、生地づくりなどは、時間がかかるわりに、作る人の腕による差がお客様に伝わりにくいことが多い工程です。ここを外に出すと、店の手間は大きく減ります。ただし、スープやだしそのものが看板になっている店のように、判断基準1に当たる場合は店に残す側で考えます。

一方で、最後の味付けや焼き加減、盛り付けのように、仕上がりを左右する工程は店に残します。外に出すのは「途中まで」にして、最後のひと手間を店で加えるという分け方もあります。

判断基準3 手間も含めて比べたか

外注の見積もりを見ると、自店で作るより高く見えることがよくあります。比べる相手が「材料費だけ」になっているからです。自店で作る場合は、材料費に加えて、仕込みにかかる人の時間、ガスや電気、使い切れずに捨てている分も費用になっています。

比べるときは、外注の仕入れ値と、「材料費+仕込みにかかった時間の人件費+捨てている分」を並べます。そのうえで、浮いた時間を何に使うのかまで決めておきます。仕込みの時間が減っても、同じ人数で同じ時間だけシフトに入っていれば、人件費は下がりません。浮いた時間で客席の回転を上げるのか、スタッフと相談してシフトを見直すのか、営業時間を延ばすのかを決めて、はじめて外注の費用に見合うかが分かります。1品ごとの原価の出し方は飲食店の原価計算のページで詳しくご説明しています。

判断基準4 量・保存・納期は合うか

委託先や仕入れ先には、1回に注文できる最低の量や、注文から届くまでの日数が決まっていることがよくあります。小さなお店では、最低発注量が多すぎて使い切れない、冷凍庫や冷蔵庫に入りきらない、ということが起こります。

  • 1回の発注量を、何日で使い切れるか
  • 冷凍・冷蔵・常温のどれで届き、店の保管場所に入るか
  • 賞味期限・消費期限は、使い切るまでの日数に足りるか
  • 注文から納品までの日数と、急に足りなくなったときの対応

この4つで「外に出してよい」となった品目から、順に検討していきます。

委託先・仕入れ先を決める前に確かめること

外に出す品目が決まったら、相手を決める前に次の点を確かめておきます。

  • 試作で、店で出す状態の味を確かめる:届いた状態ではなく、店で温め直したり仕上げたりしたあとの味と見た目で判断する。可能であれば、店の設備とスタッフで仕上げてみる
  • 規格書を受け取る:原材料、アレルギーの原因となる食材、保存方法、賞味期限などを記した書類をもらい、店で保管する。お客様からアレルギーについて聞かれたときに、確かな情報で答えられるようにしておく
  • 営業許可と衛生管理を確かめる:法令で定められた業種の営業をするには、都道府県知事などの許可を受けなければなりません(食品衛生法第55条。窓口は保健所です)。また、食品を扱う営業者は、国の基準に従って衛生管理の措置を定め、守ることが求められています(同法第51条)。製造を頼む相手が、その食品を作るための許可を受けた施設で作っているか、どのように衛生管理をしているかを確認する
  • 止まったときの代わりを考えておく:値上げや仕様の変更、製造の停止があったときに、別の仕入れ先に切り替えるのか、店で作るのかを決めておく
  • レシピや条件を契約で決めておく:自店のレシピで製造を委託する場合は、レシピの扱い(他の取引先に使わないか)、価格を見直すときの条件、不良品が出たときの対応を、取引を始める前に書面で取り決めておく

自社でセントラルキッチンを作るなら、許可を先に確かめる

自社の調理施設でまとめて仕込み、各店舗に配る場合は、その施設でどの営業許可が必要になるかを、物件の契約や工事の前に確かめてください。

厚生労働省の通知では、飲食店営業の対象となる「調理」を、その場で客に飲食させるか、短期間のうちに消費されることを前提として、食べられる状態に近くなった食品に味付けなどの手を加え、飲食に最も適するように仕上げることと説明しています。短期間のうちに消費されるかどうかは、調理した者から消費者に直接販売されるかなどで判断することが想定されています。そのため、作ったものを店の外へ販売したり卸したりする場合には、そうざい製造業など、別の種類の営業許可が必要になることがあります(同じ通知では、そうざい製造業の対象に、揚げる前のコロッケのような「そうざい半製品」も含まれるとしています)。自社の店だけに配る場合でも、作る食品や、冷凍・包装して届けるかどうかによって扱いが変わることがあります。何を作るのか、配る先が自社の店だけか、外にも売るのかによって必要な許可や施設の基準が変わるため、計画の段階で施設のある地域の保健所に相談してください。セントラルキッチンも食品を扱う施設として、先ほどの衛生管理の措置を定めて守る必要があります。

1品ずつ試して切り替える

外部化は、一度にまとめて切り替えないほうが安全です。判断基準に当てはまった品目のなかから1品を選び、期間を決めて試します。

  1. 試す前の数字を取っておく:その品の仕込みにかかっている時間、1日の出数、捨てている量を、1〜2週間ほど記録する
  2. 切り替えて、同じ数字を取る:外注に切り替えたあとも、仕上げにかかる時間、出数、捨てた量を同じように記録する
  3. お客様とスタッフの反応を見る:注文の数が落ちていないか、残される量が増えていないか、味についての声がないかを確かめる。ホールとキッチンのスタッフにも、違いを感じたかを聞く
  4. 浮いた時間の使い道を確かめる:減った仕込みの時間が、提供時間の短縮やシフトの見直しに実際につながったかを見る

切り替えたときは、メニューや店内の表示も見直します。「自家製」「店内で仕込んでいます」といった言葉で紹介している品を外注に切り替えたのに、表示をそのままにしておくと、実際とは違う印象をお客様に与えてしまいます。商品の内容を実際のものより著しく優良であると示す表示は、景品表示法で禁じられています(同法第5条第1号)。消費者庁の「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」でも、「自家製パン」と表示しながら市販品のパンを出すことは、景品表示法上問題となるとされています。製造を委託した品の表示も、同じ考え方で実際に合っているかを見直してください。メニューを書き換えるときの手順はメニュー改定の進め方の記事でご紹介しています。

試した結果、味の評価も時間の効果も問題がなければ、同じ手順で次の品目に広げていきます。反対に、お客様の反応が落ちた品は、内製に戻すか、自店のレシピでの製造委託に切り替えることを検討します。

仕込みと調理工程の見直しをご一緒します

アトラクトは2006年の創業から、飲食店の経営支援ひとすじで取り組んできました。商品開発では、味だけでなく、原価率と調理工程をセットで設計し、お店のスタッフがお店の設備で同じものを出せるかを確かめながら仕上げます。調理工程の簡略化や提供時間の短縮といった、今あるメニューを活かしたままの見直しにも対応しています。

和食・洋食・中華それぞれの分野で星を獲得した実績を持つシェフが複数名在籍しており、ご相談のジャンルの専門シェフが担当します。仕込みの段取りや調理工程の簡略化を、味と厨房の動きの両面から一緒に見直します。詳しくは業態開発・商品開発のページをご覧ください。

「仕込みが回らないが、味は落としたくない」という段階で構いません。初回のご相談は無料でお受けしています。まずはお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

出典:厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について」(令和元年12月27日 生食発1227第2号)別添の飲食店営業・そうざい製造業の項、食品衛生法第51条・第55条、不当景品類及び不当表示防止法第5条、消費者庁「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」(平成26年3月28日、平成28年4月1日一部改定)Q-28。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。

よくあるご質問

小さな個人店でも、仕込みの外注は向いていますか?
店全体を切り替えるのではなく、品目を絞れば小さなお店でも検討できます。まずは業務用の既製品・半製品から1品を選び、期間を決めて試すのが現実的です。その際、1回の最低発注量を使い切れるか、冷凍庫や冷蔵庫に入りきるかを先に確かめてください。
外注に切り替えた品は、メニューの表示も変えたほうがよいですか?
「自家製」「店内で仕込んでいます」などと紹介している品を外注に切り替えた場合は、表示を実際の内容に合わせて見直してください。商品の内容を実際のものより著しく優良であると示す表示は、景品表示法で禁じられています。
自社でセントラルキッチンを作るときは、どんな許可が必要ですか?
何を作るのか、配る先が自社の店だけか、外にも販売するのかによって、必要な営業許可や施設の基準が変わります。物件の契約や工事の前の計画段階で、施設のある地域の保健所に相談してください。
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