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Profit Margin

飲食店の利益率は、 何%あればいいのか日本政策金融公庫の調査でみると、一般飲食店の営業利益率は平均でマイナスでした。

売上は落ちていないのに、手元にお金が残らない。利益率という言葉はよく使われますが、では何%を目指せばよいのかは、あまり語られていません。日本政策金融公庫の調査で一般飲食店464社をみると、売上高営業利益率の平均はマイナス2.2%。中央値もマイナス0.4%で、半数以上が営業赤字という結果です。いっぽうで黒字かつ自己資本がプラスで、営業利益・経常利益もプラスの企業に絞ると4.3%。このページでは、ひとくちに利益率と呼ばれている4つの数字の違いと、自店がいくら売れば利益が残るのかの出し方をご説明します。

  • 初回のご相談は無料
  • 創業2006年・飲食店ひとすじ
  • 自店の数字に当てはめて計算できます

※本ページで紹介する数字は、日本政策金融公庫が公表している調査の集計値と、それをもとに当社で算出した値です。同公庫の融資先を母集団とした調査で、業界全体の平均ではありません。お店ごとの状況は立地・業態・規模によって異なります。

−2.2 一般飲食店の売上高営業利益率 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査、一般飲食店464社の平均。中央値もマイナス0.4%で、半数以上が営業赤字です
4.3 黒字かつ自己資本プラス企業の平均 同調査で税引前当期純利益と自己資本がともにプラスだった企業(166社)のうち、営業利益・経常利益もプラスの企業を集計した値。黒字のお店の水準は10%ではなく4%台という結果です
104.5 損益分岐点比率(平均) 同調査。100%を超えている=この算出方法のうえでは売上総利益が営業経費と支払利息をまかない切れていない水準ということです。黒字かつ自己資本プラス企業の平均は95.7%でした
無料 初回のご相談 相談料はいただきません。決算書や試算表がうまくまとまっていない状態でもご相談いただけます
Your Worries

お金のことで、こうなっていませんか

  • 売上は落ちていないのに、手元のお金が増えていかない
  • 「利益率」と言われても、粗利のことなのか最後に残る額のことなのか分からない
  • 毎月いくら売れば赤字にならないのか、はっきり答えられない
  • 決算では利益が出ていることになっているのに、通帳の残高は減っている
  • 借入の返済を入れて考えると、実は足りていない気がする
  • 値上げをしてみたが、利益が増えた実感がない
  • 「飲食店の利益率は10%くらい」と聞くが、そんな数字は見たことがない
  • 試算表は毎月届くが、店として何を直せばよいのかが分からない

利益率という言葉のままでは手が打てません。どの利益率のことなのかを先に分け、いくら売れば残るのかを決めるところから始めます。

はじめに、正直なところをお伝えします

「利益率」と呼ばれている数字は、
ひとつではありません。

「うちの利益率って、何%くらいが普通なんでしょうか」。ご相談のなかで、よくいただく質問のひとつです。ただ、この質問にはそのままでは答えられません。飲食店の決算書からは、利益率と呼びうる数字が少なくとも4つ出てくるからです。

実際の数字で見てみます。日本政策金融公庫の調査で一般飲食店464社を集計すると、売上高総利益率(いわゆる粗利率)は65.0%売上高営業利益率はマイナス2.2%売上高経常利益率はマイナス0.9%減価償却前の経常利益率は2.0%。同じ決算書から出てくる数字が、65.0%からマイナス2.2%までおよそ67ポイントの幅で並びます。

ですから「利益率は65%です」も「マイナス2.2%です」も、どちらも間違いではありません。話が噛み合わないのは、お互いが別の数字を見ているからです。この4つのうち、お店の状態をいちばん素直に表すのは営業利益率だと考えています。売ったものの粗利から、人件費も家賃も水道光熱費も引いたあとに、いくら残っているか。それがマイナス2.2%、というのがこの調査の結果です。

もうひとつ、この数字の読み方について。平均がマイナスであることは、飲食店という商売そのものが成り立たないという意味ではありません。この調査の対象は公庫が融資した法人企業で、そもそも借入をしている会社が母集団です。手引きにも「集計結果は必ずしも当該業界全般の実態を反映するものではない」と明記されています。それでも、同じ物差しで測った464社のなかで、自分の店がどのあたりにいるのかを知る手がかりにはなります。このページでは、その物差しの使い方をご説明します。

※出典:「小企業の経営指標調査」(日本政策金融公庫)2025年度調査(2026年8月掲載)。調査対象は同公庫国民生活事業が2025年4月〜12月に融資を行った法人企業のうち、従業者50人未満・決算期間1年の企業で、決算期は2024年7月以降です。個人事業として営まれているお店は含まれていません。また平均値は各企業の比率の単純平均です。傾向をつかむための手がかりとしてご覧ください。

The Four Margins

4つの利益率を、同じ表で並べてみる

日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査から、一般飲食店464社の数字を抜粋しました。4つの利益率と、損益分岐点比率を並べています。いちばん右は、税引前当期純利益と自己資本がともにプラスだった企業(166社)の集計値です。ただし同調査では、利益率(同調査でいう「売上利益率」)の黒字企業平均を算出する際に、そこからさらに営業利益・経常利益がマイナスの企業を除いています。以下このページでは、いちばん右の列(税引前当期純利益と自己資本がともにプラスの企業)を「黒字企業」と呼びます。ただし利益率の行だけは、そこからさらに営業利益・経常利益がマイナスの企業が除かれています

指標 平均値 中央値 黒字かつ自己資本
プラス企業の平均
売上高総利益率(粗利率)65.0%65.1%67.8%
売上高営業利益率−2.2%−0.4%4.3%
売上高経常利益率−0.9%0.4%4.8%
売上高経常利益率(償却前)2.0%2.5%7.6%
損益分岐点比率104.5%101.3%95.7%

→ 表は横にスクロールできます。
※出典:「小企業の経営指標調査」(日本政策金融公庫)2025年度調査。一般飲食店(調査対象数464、うち黒字かつ自己資本プラス企業166)の値を抜粋しています。同調査は1業種につき31の指標を6つの列で掲載しており、上の表はそのうち5指標を3列分だけ抜き出したものです。全体は同調査をご覧ください。
※同調査の売上高は原則として消費税を含む金額です。自店の税抜きの数字とそのまま比べると比率がずれる点にご注意ください。
※人件費は役員報酬・退職金・福利厚生費を含みます。諸経費は販売費・一般管理費から人件費・減価償却費・外注加工費を差し引いた額です。
※黒字かつ自己資本プラス企業とは、税引前当期純利益と自己資本がともにプラスの企業をいいます。なお同調査では、利益率について黒字企業の平均を算出する際に営業利益・経常利益がマイナスの企業を除いているため、この列は行ごとに集計対象の企業が異なり、利益率の行は定義のうえで高く出ます。また損益分岐点比率は、同調査では分母がゼロまたはマイナスの企業を除いて集計されています。
※同調査の表は「平均値/黒字かつ自己資本プラス企業平均値/中央値/上方信頼限界/下方信頼限界/標準偏差」の順に並んでいます。上の表は、そのうち平均値・中央値・黒字企業平均の3列を抜き出し、読みやすさのために順序を入れ替えたものです。
本ページの見出しと本文でご紹介しているポイント差・倍率・原価率・合計値は、いずれも同調査の公表値をもとに当社で算出したもので、同調査に掲載されている指標ではありません。

粗利率65%で安心してしまうのが、よくある落とし穴

飲食店の粗利率は、他の業種と比べて高く出ます。売上から売上原価(飲食店では主に食材費)を引いた数字ですから、原価率が35%の店なら粗利率は65%です。この数字だけを見ていると、ずいぶん儲かる商売のように見えます。

ところが、そこから人件費と諸経費が引かれます。同調査で一般飲食店の人件費対売上高比率は平均32.9%、諸経費対売上高比率は平均30.7%。この2つを足すだけで63.6%。粗利率65.0%との差はわずか1.4ポイントで、そこからさらに減価償却費などが引かれるため、営業利益率はマイナス2.2%になります。飲食店の損益は、粗利のほとんどを人件費と諸経費が使い切る構造だということです。だから粗利率だけを見ていても、店が黒字なのかどうかは分かりません。

「利益は出ていないのに、現金は回っている」の正体

表のなかで、経常利益率がマイナス0.9%なのに、償却前の経常利益率は2.0%とプラスになっています。この差はおよそ2.9ポイント(同調査の公表値をもとに当社で算出)。この部分にあたるのが減価償却費です。

減価償却費は、内装や厨房機器に使ったお金を、何年かに分けて費用として計上していくものです。その年に現金が出ていくわけではありません。ですから「決算は赤字なのに、毎月の支払いはなんとか回っている」という状態が起こります。

問題はそのあとです。減価償却費の分だけ現金が残っているように見えても、そのお金は本来、次の設備の更新に取っておくべきものです。ここを日々の運転資金として使い切ってしまうと、何年か先に厨房機器やエアコンが寿命を迎えたときに、借入に頼らざるを得なくなることがあります。償却前でプラス、償却後でマイナスという状態は、いまは回っているけれども、次の投資の原資までは出ていないということを表しています。

黒字の店との差は6.5ポイント。ただし1か所ではありません

平均の営業利益率マイナス2.2%に対して、黒字かつ自己資本プラス企業の平均は4.3%。その差は6.5ポイントです。では、どこで差がついているのか。同調査の各指標について平均と黒字企業平均の差を並べると、こうなります(いずれも同調査の公表値をもとに当社で算出したものです)。

粗利率で2.8ポイント(65.0%→67.8%。原価率でいえば35.0%→32.2%)。人件費率で1.4ポイント(32.9%→31.5%)。諸経費率で1.7ポイント(30.7%→29.0%)。残るおよそ0.6ポイントが減価償却費と外注加工費にあたります。足すと6.5ポイントになります。

ここが、このデータのいちばん大事なところだと思っています。黒字の店はどこか1か所で大きく勝っているのではなく、原価で3ポイント弱、人件費で1ポイント強、諸経費で2ポイント弱ずつ、少しずつ違うのです。「原価率を5%下げれば黒字になる」という単純な話にはなっていません。逆にいえば、1つの項目で劇的な改善を狙わなくても、3つを合わせて6ポイントほど動かせば差の大半が埋まるという距離でもあります。

※差の内訳はあくまで目安です。同調査では指標ごとに個別に異常値を除外しており、さらに利益率の黒字企業平均と、人件費率・諸経費率の黒字企業平均は集計対象の企業が異なります(上の注記をご参照ください)。厳密な引き算として成り立つものではありません。

飲食店の利益率|粗利率・営業利益率・経常利益率・償却前経常利益率を分けて見るイメージ
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平均でみると、業態が違っても残る率は似ています

同じ調査から、業態別の営業利益率と損益分岐点比率を抜粋しました。飲食店は「一般飲食店」と「遊興飲食店」の2つに大きく分かれており、その下にぶら下がる業種を、それぞれの上位分類とあわせて並べています。以下は小分類までの比較で、同調査のさらに細かい分類まで下りると、業態ごとの幅はこれより広がります。

業態 調査対象数 営業利益率
(平均)
損益分岐点比率
(平均)
一般飲食店(上位分類)464社−2.2%104.5%
 └ 食堂,レストラン347社−2.0%104.3%
 └ すし店37社−2.5%103.9%
 └ 喫茶店35社−2.2%104.6%
 └ そば・うどん店26社−3.9%106.5%
遊興飲食店(上位分類)296社−1.5%103.3%
 └ 酒場,ビヤホール212社−1.8%103.8%
 └ バー,キャバレー,ナイトクラブ80社−0.7%101.7%

→ 表は横にスクロールできます。
※出典:「小企業の経営指標調査」(日本政策金融公庫)2025年度調査。同調査の小分類の業種と、その上位分類(中分類)について、31指標のうち2指標だけを抜き出しています。酒場,ビヤホールとバー,キャバレー,ナイトクラブは「遊興飲食店」に属し、464社の内訳ではありません。なお一般飲食店の小分類のうち「その他の一般飲食店」(19社)は、調査対象数が少ないため表から外しています。また遊興飲食店には同調査に小分類として掲載されていない分の企業も含まれるため、下2行を足しても296社にはなりません。
※同調査の業種区分は日本標準産業分類(2002年10月適用)に基づくもので、現在の産業分類とは区分や名称が異なります。
調査対象数が少ない業態の数値は、ぶれが大きくなります。同調査の手引きでも、サンプル数が少ない場合は信頼区間に留意し、より上位の分類もあわせて参考にするよう案内されています。この表では、業態ごとの比較を平均どうしにそろえています。
※損益分岐点比率は同調査独自の算出方法によるものです(後述)。

原価率は2倍ちがうのに、この8区分の営業利益率は3.2ポイントの幅に収まる

同調査の売上高総利益率から当社で算出した原価率(100%から総利益率を引いた値)でみると、この表に並べた業態は20.0%から41.1%まで、およそ2倍の開きがあります。すし店のように原価をかける業態もあれば、バーのように原価が軽い業態もあります。ところが、同じ8区分の営業利益率の平均はマイナス0.7%からマイナス3.9%まで、3.2ポイントの幅にしか広がっていません(いずれも同調査の公表値をもとに当社で算出)。

つまり原価の重さは、ほかの費用の配分のなかで吸収されていて、最後に残る率のところではほとんど差がなくなっているということです。この8区分で原価と逆向きに動いているのは諸経費(同調査では、販売費・一般管理費から人件費・減価償却費・外注加工費を差し引いた額。家賃や広告費などが入ります)で、原価率が最も重いすし店の諸経費対売上高比率は27.1%、最も軽いバー,キャバレー,ナイトクラブは39.2%です。どこにお金を使うかの配分が業態ごとに違い、結果として着地点が似てくるという読み方になります。

ここから言えるのは、「うちの業態は原価率が高いから利益が出ない」という説明は、この調査の範囲では成り立ちにくいということです。原価率が高いこと自体は問題ではなく、その高さに見合う費用の配分になっているかが問われます。なお人件費率のほうは、この8区分では原価率と連動していません(原価率がいちばん軽いバー,キャバレー,ナイトクラブの人件費対売上高比率は30.7%で、一般飲食店の平均32.9%より低い水準です)。食事を出す業態にかぎれば原価率と人件費率に関係が見られますが、その話は業態別の原価率と人件費率を扱う別のページでご説明しています。

もうひとつ、この表で目を引くのは並べた8つの区分すべてで損益分岐点比率が100%を超えていることです。100%を超えるというのは、この算出方法のうえでは売上総利益が営業経費と支払利息をまかない切れていない水準ということです。

ただしこれをそのまま「赤字」と読み替えることはできません。同調査の損益分岐点比率は受取利息などの営業外収益を加味できない算出方法で、手引きでもその旨の注意が添えられています。実際、この表のバー,キャバレー,ナイトクラブは損益分岐点比率が101.7%ですが、同じ調査の売上高経常利益率の平均はプラス0.9%です。「100%を上回っているほど、売上が減ったときに耐えられる余裕が小さい」という、水準を測る物差しとして見るのが実際的です。次の章で、この数字の意味と、自店の場合の出し方をご説明します。

※同調査の飲食店の区分のうち、この表に載せていないさらに細かい分類のなかには、損益分岐点比率の平均が100%を下回るものもありますが、調査対象数が10社に満たない区分です。

Break-even Point

いくら売れば残るのか、自店の数字で出す

利益率は結果の数字です。動かすためには「いくら売れば損も得もしないのか」を先に決めます。電卓があれば5分で出せます。

STEP 1

ひと月の費用を、売上と一緒に増える費用とそうでない費用に分ける

売上が増えると増える費用が変動費、売上が変わっても毎月ほぼ同じ額がかかるのが固定費です。飲食店の場合、変動費の中心は食材の原価。固定費は家賃、社員の給与、水道光熱費の基本料金、リース料、保険料、減価償却費などです。まずはこの2つに分けます。

STEP 2

限界利益率を出す

変動費が売上の何%かを出し、100%から引きます。これが限界利益率で、売上が1万円増えたときに、いくらが限界利益として残るかを表します。

限界利益率100%−(変動費 ÷ 売上高 × 100

STEP 3

損益分岐点売上高を出す

固定費を限界利益率で割ります。これが、「ここまで売れば損も得もしない」という売上です。

損益分岐点売上高固定費 ÷ 限界利益率

STEP 4

いまの売上と比べる

損益分岐点売上高を、実際の売上で割ります。100%を下回っていれば、ここで固定費に入れた費用の範囲では黒字です。90%なら、売上が10%落ちるまでは利益が残る計算になります。なお借入がある場合、支払利息はSTEP 1の固定費の例には入れていません。含めて見たいときは固定費に足して計算してください。

損益分岐点比率損益分岐点売上高 ÷ 売上高 × 100

具体的な数字を入れてみます

月商400万円のお店で、食材費が120万円、固定費(社員給与・アルバイト人件費・家賃・水道光熱費・リース料・減価償却費など)の合計が260万円だとします。※ここではアルバイトの人件費も固定費に入れています(理由はこのあとの「人件費を固定費に入れるか、変動費に入れるか」でご説明します)。また水道光熱費は基本料金と使用量に分かれますが、ここでは全額を固定費として扱っています。

変動費率は120万円÷400万円で30%。限界利益率は100%−30%で70%。損益分岐点売上高は260万円÷0.7でおよそ371万円。いまの売上400万円に対する損益分岐点比率は371万円÷400万円でおよそ93%です。この店の営業利益は400−120−260で20万円、営業利益率は5.0%売上が7%落ちるまでは黒字が残る、という読み方になります。

同じ店で、固定費が20万円増えて280万円になったとします。損益分岐点売上高は280万円÷0.7で400万円。ちょうど今の売上と同じになり、利益はゼロです。固定費の20万円は、売上でいえばおよそ29万円分に相当します。限界利益率が70%の店では、固定費を1万円増やすと、それを埋めるのに約1万4千円の売上が要るということです。設備を入れる、社員をひとり増やす、家賃の高い物件に移る。こうした判断のときに、この換算をしておくと迷いが減ります。

人件費を固定費に入れるか、変動費に入れるか

飲食店でいちばん悩ましいのが人件費です。社員の給与は売上が減っても変わらないので固定費、アルバイトはシフトを調整できるので変動費、という分け方もあります。どちらが正しいということはなく、何を判断したいかで決めます

売上が落ちたときにどこまで耐えられるかを見たいなら、人件費は全額を固定費に入れておくほうが安全側です。シフトはすぐには減らせませんし、減らせば店が回らなくなります。逆に、繁忙期に人を厚くするかどうかを判断したいなら、その分だけを変動費として扱うほうが実態に近くなります。大事なのは、毎月同じ分け方で続けることです。分け方が月によって変わると、良くなったのか悪くなったのかが分からなくなります。

借入の返済は、この計算には入っていません

損益分岐点は損益計算書の上の話で、借入金の元本返済は費用ではありません。ですから損益分岐点をわずかに超えて黒字になっていても、返済でそれ以上の現金が出ていけば、通帳の残高は減っていきます。「利益は出ているのにお金が残らない」という感覚の多くは、ここから来ています。

現金の面まで含めて見たいときは、固定費に年間の返済元本を12で割った額を足したうえで、もう一度STEP 3を計算してみてください。多くの場合、必要な売上はかなり上がります。ただし税金の扱いや、減価償却費が現金の出ない費用であることも絡んできますので、正確な資金繰りの見通しについては顧問税理士や金融機関にご確認いただくのが確実です。ここでは「返済があるなら、損益分岐点より高いところに目標を置く必要がある」という点だけ押さえていただければ十分です。

先ほどの調査の104.5%という数字について

冒頭からご紹介している損益分岐点比率104.5%は、ここでご説明した計算とは変動費の分け方が違います。同調査では、営業経費と支払利息割引料の合計を売上総利益で割る方法で算出されており、変動費は売上原価だけ、人件費は全額が固定費という前提です。上の計算例で人件費を全額固定費に入れたのと同じ考え方になります。

ですので、自店で計算した比率と調査の数字を並べるときは、自店のほうも人件費を全額固定費に入れ、さらに減価償却費・外注加工費・支払利息も固定費に含めて計算し直すと、同じ土俵に乗ります。同調査の分子に含まれる営業経費には、人件費・諸経費のほかに減価償却費と外注加工費が入っているためです。数字の大小そのものより、去年の自店と今年の自店を同じ方法で比べるほうが、はるかに役に立ちます。

Where to Start

利益率を動かすとき、どこから手をつけるか

先ほどの6.5ポイントの内訳のとおり、差は1か所ではつきません。まず、どこが沈んでいるのかを特定します。そのうえで動かせる場所は原価・固定費・売上の3つで、効き方がそれぞれ違います。

01

まず、どの利益率が沈んでいるのかを特定する

粗利率が低いのか、粗利は出ているのに人件費と諸経費で消えているのか。ここを間違えると、努力の方向がずれます。粗利率が業態の水準どおりで営業利益率だけが低い店では、原価をいじっても効きにくくなります。試算表の3か月分を並べて、4つの利益率を書き出すところから始めます。

  • 直近3か月と、前年の同じ月を並べる
  • 4つの利益率のうち、どこで水準から離れたかを見る
02

変動費(原価)は、1ポイントの重みが大きい

原価率を1ポイント下げると、限界利益率が1ポイント上がります。月商400万円なら月4万円、年間で48万円です。ただし仕入れ単価を叩くことだけが原価改善ではありません。仕込みのロス、分量のブレ、廃棄、まかない。原価表に出てこないところで消えている分が、まず先です。味を落とす変更は最後の手段として扱います。

  • 棚卸を月1回そろえて、理論原価との差を見る
  • 出数の多い上位10品だけ、原価を計算し直す
03

固定費は、減らすより「増やさない」が効く

家賃や社員給与は、いったん決まると簡単には下げられません。だからこそ増やすときの判断がすべてです。STEP 3の換算式で「この固定費を回収するには売上がいくら必要か」を先に出しておくと、判断の材料がそろいます。すでに重い場合は、契約の見直しやリースの整理など、下げられるものから順に確認します。

  • 固定費を項目別に並べ、金額の大きい順に並べ替える
  • 増やす判断のたびに、必要な売上増を計算しておく
04

売上は、客数と客単価に分けてから考える

限界利益率が70%の店なら、売上を10万円増やすと7万円が利益に効きます。費用を削るより効率がよく見えますが、売上を増やす手には費用がかかるものがあります。客数を増やす手と客単価を上げる手では、必要な費用も時間も違います。値上げを検討する場合は、値上げ後に客数がどこまで落ちても利益が維持できるかを、先ほどの限界利益率で計算してから決めます。

  • 売上を「客数×客単価」に分けて、どちらが落ちたかを見る
  • 値上げは、許容できる客数の減少幅を先に計算する
よくある行き止まり

利益率を追いかけて、
かえって遠回りになることがあります。

粗利率だけを見て安心する。飲食店の粗利率は構造的に高く出ます。65%という数字は「良い」を意味しません。人件費と諸経費を引いたあとで初めて、店の状態が分かります。

「黒字企業の4.3%」をそのまま目標にする。この4.3%は、税引前当期純利益と自己資本がプラスで、なおかつ営業利益・経常利益もプラスの会社だけを集めた平均です。黒字だから4.3%なのであって、4.3%を目指せば黒字になるという順番ではありません。目標にするなら、自店の損益分岐点比率を100%より下げることのほうが実務的です。

一律で原価率を下げる。出数の多い看板メニューの原価を下げると、来ていただく理由そのものが弱くなることがあります。原価は品目ごとに見て、動かしてよいものと触らないものを分けます。

返済を忘れて「黒字だから大丈夫」と考える。元本の返済は費用に入りません。損益分岐点をわずかに超えただけでは、現金は減り続けることがあります。

他店の数字と、前提をそろえずに比べる。税込か税抜か、役員報酬が入っているか、家族の人件費がどう計上されているか。前提が違う数字を並べても、判断の材料にはなりません。

※改善できる金額・割合や、利益率が何%になるかをお約束するものではありません。効果はお店の規模・立地・業態・現在の状況によって異なります。また税務や資金繰りの具体的なご判断については、顧問税理士や金融機関にご確認ください。

Flow

ご相談から改善までの流れ

1

ご相談・現状のヒアリング

いまの月商、食材費、人件費、家賃。分かる範囲で構いません。数字が手元になくても、お話をうかがいながら整理していきます。初回のご相談は無料です。

2

4つの利益率と損益分岐点を出す

お持ちの資料から、粗利率・営業利益率・経常利益率・償却前の経常利益率と、損益分岐点売上高を計算します。ここで「どこで沈んでいるのか」がはっきりします。

3

現場の確認

実際の営業時間に伺い、仕込みの量、廃棄、人の配置、ピークの回し方を拝見します。数字のどこに何が表れているのかは、現場を見ないと分かりません。

4

ご提案とお見積り

原価・人件費・固定費・売上のどこから、どの順番で手をつけるかをご提案します。お見積りをご確認いただいてからご判断ください。

5

実行と、数字で振り返る仕組みづくり

毎月同じ方法で数字を並べ、動いたか動いていないかを確認できる形にします。店長が替わっても続く形にするところまでをご一緒します。

Why Attract

数字の相談をアトラクトにいただく理由

飲食店だけを見てきた

2006年の創業以来、業種を広げず飲食業界だけを見てきました。仕込みのロス、まかない、時間帯ごとの人の張り付き方。数字の裏で何が起きているかを、前提の説明から始めずにお話しできます。

数字を出して終わりにしない

利益率を計算するだけなら、資料があればできます。当社がご一緒するのは、その数字を動かすために厨房とホールで何を変えるか、というところです。提案書を置いて帰るだけの進め方はしていません。

原価・人・売上を切り離さない

原価だけ、人件費だけ、と区切ると、片方を下げた分がもう片方に出てくることがあります。粗利・人件費・諸経費・売上をひとつながりのものとして拝見し、順番をつけてご提案します。

相談しやすい費用設定

コンサルティングが高額で相談しにくいものであれば、本当に困っているお店ほど届きません。初回のご相談は無料。費用は現状を拝見したうえで規模に応じて設定しています。

Price

費用の考え方

まずはご相談ください

初回のご相談は無料

高額になりがちなコンサルティング費用を、現状を拝見したうえで規模に応じた低価格な金額に設定しています。数字の整理だけをご相談いただくこともできますし、1店舗のご相談から承ります。ご提案とお見積りをご確認いただいてからご判断いただけますので、初回のご相談でご契約いただく必要はありません。しつこい営業はいたしません。

※サポート費用および税の取扱いは、お見積り時にご案内します。
※改善できる金額・割合や利益率は店舗の状況により異なり、成果を保証するものではありません。
※税務申告・記帳代行は行っておりません。税務のご判断は顧問税理士にご確認ください。

FAQ

よくいただくご質問

飲食店の利益率は、何%あれば普通ですか?
まず「どの利益率か」を決めていただく必要があります。日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」2025年度調査で一般飲食店464社をみると、売上高総利益率(粗利率)は平均65.0%、売上高営業利益率は平均マイナス2.2%、売上高経常利益率は平均マイナス0.9%、減価償却前の経常利益率は平均2.0%です。同じ決算書から出てくる数字がこれだけ違います。お店の状態をいちばん素直に表すのは営業利益率だと考えています。この調査では中央値もマイナス0.4%でした。なおこの調査は同公庫国民生活事業が融資した従業者50人未満の法人企業が母集団で、手引きにも「必ずしも当該業界全般の実態を反映するものではない」と記載されています。業界全体の平均ではなく、目安としてご覧ください。
粗利率と営業利益率は、どちらを見ればよいですか?
判断に使うのは営業利益率です。飲食店の粗利率は構造的に高く出ます。売上から売上原価(飲食店では主に食材費)を引いた数字なので、原価率35%の店なら粗利率は65%になりますが、そこから人件費と諸経費が引かれます。先ほどの調査では、一般飲食店の人件費対売上高比率が平均32.9%、諸経費対売上高比率が平均30.7%で、この2つだけで63.6%。粗利のほとんどが使われる構造です。粗利率は原価の管理に使い、店が黒字かどうかの判断は営業利益率で行うと、見誤りにくくなります。
調査の平均が営業赤字なのに、なぜお店は続いているのですか?
同じ調査で、減価償却前の経常利益率をみると平均2.0%とプラスになっています。減価償却費は内装や厨房機器に使ったお金を何年かに分けて費用として計上するもので、その年に現金が出ていくわけではありません。そのため「決算は赤字だが毎月の支払いは回っている」という状態が起こります。ただし、その分の現金は本来、次の設備更新のために取っておくべきものです。日々の運転資金として使い切ってしまうと、設備が寿命を迎えたときに借入に頼らざるを得なくなることがあります。償却前でプラス、償却後でマイナスという状態は、いまは回っているけれども次の投資の原資までは出ていない、という意味になります。
損益分岐点売上高は、どうやって計算すればよいですか?
4つの手順で出せます。①ひと月の費用を、売上と一緒に増える変動費(飲食店では主に食材の原価)と、売上が変わってもほぼ一定の固定費(家賃・給与・リース料・減価償却費など)に分けます。②100%から変動費率を引いて限界利益率を出します。③固定費を限界利益率で割ると損益分岐点売上高になります。④それを実際の売上で割ると損益分岐点比率が出ます。たとえば月商400万円・食材費120万円・固定費260万円のお店なら、限界利益率70%、損益分岐点売上高はおよそ371万円、損益分岐点比率はおよそ93%です。100%を下回っていれば、ここで固定費に入れた費用の範囲では黒字で、この場合は売上が7%落ちるまでは利益が残る計算になります。なお借入がある場合、支払利息は上の固定費の例には含めていません。
人件費は、固定費と変動費のどちらに入れるのですか?
どちらが正しいということはなく、何を判断したいかで決めます。売上が落ちたときにどこまで耐えられるかを見たいのであれば、人件費は全額を固定費に入れるほうが安全側に出ます。シフトはすぐには減らせないためです。繁忙期に人を厚くするかどうかを判断したいのであれば、その分だけを変動費として扱うほうが実態に近くなります。大切なのは毎月同じ分け方で続けることです。分け方が月によって変わると、良くなったのか悪くなったのかが分からなくなります。なお本ページで紹介している日本政策金融公庫の調査の「損益分岐点比率」は、人件費を全額固定費として扱う算出方法です。調査の数字と自店の数字を並べるときは、自店も人件費を全額固定費に入れ、減価償却費・外注加工費・支払利息も固定費に含めて計算し直すと、同じ土俵に乗ります。
借入の返済は、損益分岐点の計算に入れなくてよいのですか?
損益分岐点は損益計算書のうえの計算で、借入金の元本返済は費用に含まれません。そのため損益分岐点をわずかに超えて黒字になっていても、返済でそれ以上の現金が出ていけば残高は減っていきます。現金の面まで含めて見たいときは、固定費に年間の返済元本を12で割った額を足したうえで計算し直すと、必要な売上の目安がつかめます。ただし税金の扱いなども絡みますので、資金繰りの正確な見通しについては顧問税理士や金融機関にご確認ください。
決算書や試算表がうまくまとまっていないのですが、相談できますか?
はい。資料が整っていない状態からのご相談も多くいただきます。お手元にあるもののままでお持ちください。何をどう記録すればよいかの整理からお手伝いしますので、ご相談の前にまとめ直していただく必要はありません。なお当社は税務申告や記帳の代行は行っておりません。税務上のご判断は顧問税理士にご確認ください。
1店舗だけでも依頼できますか?対応エリアはどこですか?
はい。個人で営まれている1店舗から、複数店舗を展開されている企業さままで対応しています。費用は現状を拝見したうえで規模に応じて設定しますので、小規模だからお受けできないということはありません。エリアを問わずご相談いただけます。初回のご相談は無料で、その場でご契約いただく必要はありません。しつこい営業はいたしません。

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