飲食店の売上が落ちた原因|最初に見る3つの数字
売上が落ちたとき、月次の売上金額をにらんでいても原因は見えてきません。売上は「客数」と「客単価」の掛け算でできているので、まずこの2つに分け、そのうえで「誰が来なくなったのか」を見ます。この記事では、飲食店の売上が落ちたときに最初に確認したい3つの数字と、その読み解き方を順にご説明します。あわせて、自店の問題なのか外の要因なのかを切り分ける見方も整理します。
売上の金額だけを見ても、原因は分からない
売上が前年より10%落ちたとします。この10%が、客数が10%減ったことによるものなのか、客単価が10%下がったことによるものなのか、あるいは客数と客単価が5%ずつ動いた結果なのかで、打つべき手はまったく違います。
客数が減っているなら、来ていただく理由や入口の問題です。客単価が下がっているなら、メニュー構成や注文のされ方の問題です。同じ「10%減」でも、行き先が違います。だからこそ、合計金額のまま眺めていても手が打てません。最初にやることは、落ち込みを分解することです。
比べる相手は「前年の同じ月」
もうひとつ、意外と間違えやすいのが比較の相手です。前月と比べると、季節性・営業日数・曜日構成がすべて混ざってしまいます。飲食店は月ごとの条件差が大きいので、原則は前年の同じ月と比べてください。
そのうえで、営業日数と土曜・日曜の数、天候を確認します。これは業界団体が毎月出している調査でも同じで、日本フードサービス協会の月次調査には、参考資料として休日日数・土曜日日数と、東京・大阪の雨天日数・平均気温が添えられています。同じ7月でも、東京は2025年7月が雨天日数5日・平均気温28.4℃、2026年7月は雨天日数11日・平均気温27.2℃と条件が違いました。条件をそろえずに前年と比べると、店の実力とは関係ない差を「不振」と読み違えてしまいます。
数字① 客数──「何人」を曜日と時間帯に割って見る
1つ目は客数です。ここでもう一段だけ分解します。
客数 = 組数 × 1組あたりの人数
組数が減ったのか、1組の人数が減ったのかで意味が変わります。組数が減っているなら来店そのものが減っています。組数は変わらないのに人数が減っているなら、宴会や家族客といったまとまった来店が落ちている可能性があります。
次に、その客数を曜日別と時間帯別に並べてください。店全体では5%減でも、内訳を見ると平日ランチだけが2割減っていて、週末は前年並み、ということがよくあります。全体の数字は、良い部分と悪い部分が打ち消し合って見えなくなります。分けて初めて、どこで何が起きているかが分かります。
もうひとつ大切なのが、落ち始めた時期を特定することです。月ごとの推移を並べて、いつから下がったのかを確認します。時期が分かれば、そのころ何が変わったのかを思い出せます。近隣に競合ができた、道路工事が始まった、価格を改定した、看板メニューを外した、ホールの主力スタッフが抜けた──原因は、たいてい変化と同じ時期に始まっています。
数字② 客単価──「注文点数」と「1品あたりの単価」に分ける
2つ目は客単価です。これも掛け算に分けます。
客単価 = 1人あたりの注文点数 × 1品あたりの平均単価
この分解をしておくと、対策が具体的になります。よくあるのが、価格を上げたのに客単価が思ったほど上がらないケースです。1品あたりの単価は上がっているのに、注文点数が落ちていることが原因である場合があります。1杯目のあとの追加注文が減った、デザートやサイドメニューが出なくなった、といった変化です。
逆に、点数は変わらないのに平均単価が下がっているなら、注文が安い価格帯に寄っています。コースから単品へ、飲み放題付きの宴会から少人数の利用へ、といった使われ方の変化が背景にあることが少なくありません。
どちらの場合も、値付けだけをいじる前に、メニュー構成と見せ方を確認してください。価格改定の進め方についてはメニュー改定の進め方の記事で手順を整理しています。
数字③ 新規と再来の比率──落ち方の「性格」が分かる
3つ目は、来ていただいたお客様のうち、初めての方とリピートの方がどれくらいの比率かです。ここが分かると、同じ「客数減」でも性格が見分けられます。
- 新規が減っている=見つけてもらう入口の問題。地図アプリや検索での見え方、外観・看板、掲載媒体、写真の鮮度など
- 再来が減っている=中身の問題。味や提供時間、接客、価格に対する納得感など
新規が減っているのに接客研修に力を入れても、原因の場所が違うので効きません。逆に、再来が減っているのに広告費を足すと、入口を広げた分だけ費用がかさみます。
厳密な数字が取れなくても構いません。予約台帳で再訪のお名前を数える、会員証やLINEの利用比率を見る、常連の顔ぶれが変わっていないかスタッフに聞く。この程度でも、傾向はつかめます。新規の入口を整えたい場合は、Googleマップの情報整備のように、費用をかけずに手を入れられるところから始めるのが現実的です。
自店の要因か、外の要因かを切り分ける
3つの数字を並べたら、最後に外の環境と照らし合わせます。市場全体が落ちている局面で自店だけを責めても、正しい手は打てません。
参考になるのが、日本フードサービス協会が毎月公表している外食産業市場動向調査です。2026年7月度の全店データ(前年同月比・税抜)は次のとおりでした。
| 業態 | 売上高 | 利用客数 | 客単価 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 106.8% | 103.2% | 103.5% |
| ファーストフード | 107.5% | 103.9% | 103.4% |
| ファミリーレストラン | 105.7% | 102.0% | 103.6% |
| パブレストラン/居酒屋 | 105.2% | 103.7% | 101.5% |
| ディナーレストラン | 109.5% | 105.4% | 103.9% |
| 喫茶 | 104.4% | 101.0% | 103.4% |
見ていただきたいのは、客単価の伸び方が業態によって違う点です。パブレストラン/居酒屋は101.5%で、ディナーレストランの103.9%やファミリーレストランの103.6%と差があります。同じ「客単価が上がりにくい」でも、業態によって置かれている状況が違うということです。
月による振れも小さくありません。同じ調査で2026年6月の全体は売上103.3%・利用客数100.8%でしたが、7月は売上106.8%・利用客数103.2%まで戻っています。協会は7月度の集計にあたり「台風の影響を受けた前月から一転、比較的天候が安定したため、全体的に客数は回復した」としています。1か月分の落ち込みだけを見て店の構造を疑う前に、こうした外の条件を確認する価値はあります。
業界の数字を、そのまま自店と比べない
ただし、この調査の数字を自店の数字と並べるときは注意が必要です。
この調査は協会の会員社を対象に、新規店も含めた「全店データ」として集計されています。2026年7月度の店舗数は前年同月比101.1%で、売上の伸びには新しく開いた店の分が含まれています。既存店だけで見ている自店の数字と、そのまま優劣を比べられる性質のものではありません。また、対象は協会会員社であり、個人経営の店の実感とは離れることもあります。
使い方としては、順位づけではなく「風向きの確認」です。自店の客数が前年比97%だったとして、市場全体が103%なら──新規出店の分だけ市場側の数字が高めに出ることを差し引いても──自店固有の要因を疑う材料になりますし、市場も落ちている月なら、まず外の条件を確かめる、という判断ができます。
業界全体の伸び率ではなく、自店の売上の水準そのものが個人経営の飲食店のなかでどのあたりにあるのかを見たいときは、国の統計の平均と売上の散らばり方から確かめる方法を飲食店の売上の目安でご説明しています。
3つの数字が動いていないのに苦しいときは
客数も客単価も前年並みなのに、手元にお金が残らない。この場合、問題は売上側ではなくコスト側にあります。
典型的なのは、仕入価格や人件費が上がった分を価格に反映しきれていないケースです。売上は同じでも、原価率や人件費率が数ポイント動くだけで、利益は大きく変わります。まずは原価率と人件費率を月ごとの推移で並べ、いつから、どちらが動いたのかを確認してください。測り方や見直しどころは飲食店の原価率と人件費率のページで詳しくご説明しています。
家賃や光熱費といった固定費も同時に見ておきます。売上が落ちても固定費は減らないため、売上減の局面では利益への影響が大きくなります。
売上の落ち込みが続くときは、早い段階でご相談ください
アトラクトは2006年の創業から、飲食店の経営支援ひとすじで取り組んできました。数字を並べて終わりにせず、現場の運営をどう変えるかまで一緒に考えます。
売上の分解や現在地の見える化から、コストの見直し、メニューや業態の立て直しまで、必要なところからお手伝いできます。赤字が続いている段階のご相談は飲食店の経営立て直しのページもあわせてご覧ください。
「どこから見ればいいか分からない」「数字は出しているが読み方に自信がない」という段階で構いません。初回のご相談は無料でお受けしています。まずはお問い合わせからお気軽にご連絡ください。
出典:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2026年7月度 結果報告」(2026年8月25日公表)。数値は全店データの前年同月比(税抜比較)。2026年6月の数値は同報告の全店時系列データによる。


